最近、「デザイナーでもマーケティングのマの字くらい知ってないとな・・・」ということで、マーケティングの本を何冊か読んだのですが、とてもおもしろい・・・初心者向けで小難しいことは書いてないものばかりですが。(※参考書籍は最後に載せます)
そもそもマーケティングを、「上流の工程で自分にはあまり関係ない(堅苦しいマーケティング用語がいかんと思う!)」と思ってたことがありえない・・・反省しますごめんなさい。
読んだ本で共通して言っていたのは「マーケティングは人の心の中」で起きていて、とても身近なものだということ。
普段何気なく買っている商品にも買う理由があり、その裏には様々なマーケティング戦略が隠れてるわけですね・・・
どんな商品やサービスにも当てはまる3つの差別化のポイント
まず、まったくわかっていなかったのが差別化について。
単に競合に勝てるポイントとか付加価値的なものだと思ってた・・・
例えば、他社が1000円で売ってたら990円で売る。
他社が3日で配送するなら2日で配送する。
2個買ったら3個目タダ。
みたいな。
確かに、他社より少しでもお得感が出せたり、良心的なサービスをすれば強みになりますが、これではすぐに値段の叩き合いの消耗戦に・・・
ということではなく、業種関係なく、差別化のポイントというのは以下の3つの軸に当てはまります。
①手軽軸 | 大量生産やフランチャイズ展開で、早い、安い、便利といった強み |
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②商品軸 | 品質や技術力が高く、売るもやサービス自体た高品質であるという強み |
③密着軸 | 顧客のより細かなニーズに応えるという強み |
①の手軽軸は言わずもがな、コンビニとか回転寿司、1000円カットみたいな、誰もが手軽に利用できるサービスや製品のこと。
②の商品軸は、レクサスやApple製品など、商品やサービス自体の魅力で売れるもの。
さらにブランドが確立してくると、「それを持っているグループに属したい」みない帰属意識もでてくるので、余計に売れます。
③の密着軸は、
「おっちゃんいつものね」「あいよ!兄さんも飽きないね~」みたいな感じもそうですし、宿泊したホテルに、コンタクトレンズの洗浄液とか、携帯の充電コードが備えてあるなんていうのもそうですね。
隣のライバル店が安さを売りにするならそこでは戦わず、
「全く別の商品を仕入れてみる」とか「宅配サービスを始める」とか、
自社に合った方法で、別の角度から攻めるわけですね。
ここで勘違いしてはいけないのが、全ての軸を強みにするのは無理だけど、全体のベースは高めないといけないというこうとです。
吉野家がどれだけ早く安く食べられても、びっくりするくらいまずかったら流行らないし(商品軸が低すぎる)、しかめっ面のカリスマ美容師に切ってもらっても、次は行きたくありません(密着軸が低すぎる)。
当たり前のことですけどね。
でも、そんな当たり前のことにもロジックがあるってなんか面白くないですか?
競合は同業だけじゃないし、視点をずらせば未開拓のマーケットを狙える
例えば缶コーヒーですが、意識はしなくても何かしら飲む理由があります。
- 美味しい、喉がかわいた
- 眠気覚まし
- 朝ごはんがパンだから
- おまけのフィギュア集めてる
とかがでてきます。
でも、これだけの理由だと
- 美味しい、喉がかわいた→他の飲み物全般、スタバ
- 眠気覚まし→エナジードリンク、ガム、フリスク、走る
- 朝ごはんがパンだから→牛乳、野菜ジュース
- おまけのフィギュア集めてる→期間中だけ
のように、同じ缶コーヒーの中で競う前に、他の競合が半端なくいるわけですね。
そこをくぐり抜け、やっと「何飲む?」から、「どの缶コーヒーにする?」へ進んだとしても、同じ値段、似たような味・・・。
そんな中、うまく群を抜いたのが「朝専用」で有名な「ワンダモーニングショット」です。
市場調査の結果、「朝に缶コーヒーを飲むビジネスマン」が、非常に多かったわけですね。
そこで「朝専用」と謳うことで、新しいマーケットが出来あがりました。
朝専用のコーヒー。
これならコーヒーだけじゃなく、他の競合にも勝てそうな気がします。
「朝専用牛乳」、「朝専用野菜ジュース」は特に聞いたことありません。
今じゃ当たり前になっているキシリトールのガムも、従来の「お菓子」という位置から抜け出し、「予防歯科」に着目したことによって、爆発的にヒットしました。
ベットボトルが簡単に潰せるという「エコ」に着目した天然水の『い・ろ・は・す』もそうですね。
一貫しているマーケティングほど強くて美しい。
ターゲットや商品設計はもちろん、経営の方針からリクルーティングまで全部一貫したマーケティング戦略で取り組んでいる企業は強いし、安定感があります。
この一貫性が、ブランディングにもつながってきます。
ハンドソープの「キレイキレイ」のイラストが、いきなり漫☆画太郎先生のイラストになったらクレームが殺到しますよねきっと。一部にはウケるでしょうけど。
なにも大手企業に限った話ではなく、
マーケティングの意識があれば、会社のブログ書くのも、電話対応もメール一つにしても、「マーケティングに関わるから大事」と思えてくるはずです。
そのためには、会社全体で自社の「差別化のポイントは何か」を共有していることが大切です。
そこを共有していないと、社員に「自発的に考えて行動する」ことを望んでいるはずなのに、その方向が違っているせいで、「何で事前に確認しないんだ!?」とか「ちゃんと考えてから行動しろ!」とやる気を無くすような注意をしてしまうことに・・・
マーケティング目線で変わるデザイン
今までも、デザインするときにはサイトの「ターゲット」や「売り」、「目的」などを聞いてはいましたが、漠然と「20~30代の女性だから、柔らかい感じて淡い色合いかな」とか「キーカラーは青指定だから、ベースのカラーはこの色で、差し色にこれ使って・・・」といった具合に、まだまだ浅い部分でしか汲みとれていなかったように思います。
「なぜ20~30代の女性がターゲットなのか?性格は?属性は?」
「キーカラーを青にして、どういうイメージを与えたいのか?」
といった深いところまで考えられるように、もっとクライアントさんと意識共有しないといけないなと痛感しました。
また、クライアントさんが「こうしたい」という要望があっても、「デザイン的にこうしたほうが目立つし、見やすいですよ」と、こっちの意見を通すこともしばしばあります。
「デザインのプロが言うからそうだよな・・・」と要望をとりさげたとしても、その裏には、その企業なりに考えた戦略や、長年のやり方があったかもしれません。
もしそうであれば、その企業が「意識している・いない」にかかわらず、一貫性を壊してしまうことになります。
大げさかもしれませんが、それはよろしくないなと。
マーケティングって「売れたもん勝ち」のイメージがありますが、それだけじゃないですよね。きっと。
最後に
数冊読んだだけでこんなに視野が広がるとは・・・。恐るべしマーケティング。
ただ、そこで気づいたのは「知っていることも多かった」ということ。
普段の生活や仕事を通して断片的には知識は入ってきいるんですよね。
「顧客目線が大事」「ターゲットをしぼる」「PDCAサイクル」「コピーライティング」など、売るためのテクニックやコツを個別に学ぶことはありましたが、それぞれが紐付いてないというか、体系的に学べていないんでしょうね。
それを繋げるためのベースとしてマーケティングの考えを持っていると、全く吸収の度合いが違ってきます。
マーケティングに苦手意識のある方は、もったいないので是非何か本を読んでみてください。
参考書籍
どれも読みやすいですが、ストーリー仕立てになっている
「100円のコーラを1000円で売る方法」と「ドリルを売るには穴を売れ」は
初めてマーケティング関連の本読むならかなりオススメですm(__)m