兵庫県にスタートアップを支援する「ひょうご神戸スタートアップファンド」があるのを知っている方は、もしかしたら、少ないのではないでしょうか。
これは兵庫県が、スタートアップを考えている人に、費用・人材・場所など全ての面で支援する仕組みです。
では、なぜ兵庫県がこの取り組みに多大な金額をかけているのか気になりますよね。また、スタートアップはといえばデメリットを思い浮かべがちですが、どのようなメリットがあるのでしょうか・・・。
今回は、兵庫県が推進する「スタートアップ」について取り上げていきたいと思います。
スタートアップに興味のある方、もしくはスタートアップを成功させるために必要なことは何かを知りたい方、ぜひ最後までおつきあいください!
スタートアップとベンチャー企業の違いについて
まず、スタートアップとベンチャー企業の違いについてふれていきたいと思います。
- スタートアップ・・・新しいビジネスアイデアや、製品を持つ勢いのある企業のことを指します。
一般的には、急激に成長していくことを目的として、新市場を開拓しようとする特徴があります。
その分、ハイリスクハイリターンとなります。
スタートアップをすすめる際、アイデアの検証、市場適合性の確立、初期の顧客獲得など、段階的に目標を立てながら成長していきます。
一言で言うと、新しいアイデアで、急成長していくビジネスと言えます。 - ベンチャー企業・・・既存のビジネスモデルをベースに収益をあげたり、拡大していく組織を指します。
そのため、新しいアイデアで組織の拡大をはかるスタートアップとは違い、すでに流通しているサービスを基盤としてビジネスを拡大していきます。
ベンチャー企業は、よく耳にしますが、スタートアップはピンとこないという方も多いのではないでしょうか。ではなぜ、今日本でスタートアップが盛んに取り上げられ、国の支援も豊富に受けられるようになっているのでしょうか。
実はそこには、日本が抱える社会的問題とビジネスをとりまく大きな変化がかかわっているのです。
日本の社会的問題がスタートアップを必要としているため、政府も支援を行なっている
スタートアップが促進された要因
(1)超高齢化社会による深刻な人手不足
日本は世界で例がないほどの超高齢化社会に突入しようとしています。その中で、今までの仕組みのまま社会をまわすことは、ほぼ不可能であると誰しも感じています。
つまり、今までにない画期的なアイデア(イノベーション)が必要となるのです。
大手企業では、動くのに時間がかかってしまうことであっても、新しい企業や個人であれば、斬新なアイデアで社会を変える仕組みを迅速に作り上げることは可能です。
ただ、そこで課題となるのが、新しい企業や個人は動きは機敏であっても、信頼とお金がないということです。
そこで、政府や大手企業や銀行からなる出資者が、かかる費用を後押しするなど、スタートアップを支援する枠組みが用意されているのです。
(2)IT・テクノロジーの普及によりチャンスと競合が増えた
もう一点とりあげられることは、IT・テクノロジーの普及により、誰でも情報収集やビジネスを手軽に手にできるようになったことでしょう。
つまり、大手企業に就職をしなくても自分で挑戦したり、ビジネスを展開したりすることが簡単になったということです。
早い人は学生時代から起業を考えさまざまなチャレンジを行っています。
そのようなエネルギーとアイデア、行動力がある人材を雇うのではなく、支援することで、日本社会にイノベーションが起こるのではと考える企業も多くあります。
同時に、大手企業が支援に乗り出す背景には、IT普及により競合が増えたこともあるでしょう。
例えば、今までは国内で完結していたものが、ITの普及により海外の企業も競合となってしまいますし、まったく業種が違う企業がITの知識をもって、ものづくり産業に入ってくるなど、今の体制のまま続ければビジネスが立ち行かなくなる危険性が出てきているのです。
そのため、大手企業も現在のビジネスの経験と知識だけでは太刀打ちできず、吸収合併や投資を行うことで、新事業開拓を行っていますよね。
もちろん、日本だけの問題ではなく、世界的にも環境破壊やエネルギー問題など、地球規模の課題を解決するために、イノベーションが必要となっています。
もはや、私たちの誰もがアイデアさえあれば、チャンスを得られ、そのアイデアで社会問題を打破していくことができる可能性に満ちた社会となっているのです。
誰でもアイデアさえあればスタートアップができるのか?必要なものについて
そんな希望に満ちたスタートアップですが、どのような人が向いているのか、またスタートアップを行う際に必要なものは何かについてご紹介していきましょう。
まず、最も重要なのは「何らかの社会の課題を解決できる優れたアイデアもしくは製品開発」です。
ただし、それらは市場のニーズや課題と連動していなければなりません。課題に対する画期的なアイデアだからこそ、企業も投資を考えますので、まずそのマッチ度を明確にしておく必要があります。
最初に、「顧客から課題と感じる点をヒアリングする」「どのような人やエリアでニーズがあるかSNSなどを使用して分析」「ネットを使用したトレンド分析で市場がどの方向にすすんでいるかを把握」を行い、それらをデータ化しておくと良いでしょう。
次に必要なのは「資金」です。
商品開発やアイデアの視覚化のために開発費用がかかりますが、それらを自己資金で賄うだけでなく、ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家からの投資を受けることも考えた方が良いでしょう。
ちなみに両者の違いですが、ベンチャーキャピタルは投資会社で法人として出資し、エンジェル投資家は個人の投資家になりますので、法人よりは距離感の近い投資家ということになります。
次に、向いている人についてご紹介していきましょう。
これはどの仕事でもそうかもしれませんが、「忍耐力」と「柔軟性」です。スタートアップでは予想もつかない問題や失敗も起こってきます。その時に、それを失敗と捉えるかチャンスと捉え、次の一手を打てるかで成功までの道のりは大きく変わってきます。
一緒にチャレンジする仲間がいる場合は、その仲間を鼓舞したり、ビジョンを示したりするリーダー性も問われます。
そういった前向きな姿勢が、投資家の目に止まることもあるため、向いている人は常に前進し前向きであることが大切です。
どんな環境でも自分のビジョンを変えることなく、進んでいける人が向いていると言えるでしょう。
兵庫県が「グローバル拠点都市」に選定。世界に羽ばたくスタートアップを資金面で支援
兵庫県は、令和2年に内閣府より「グローバル拠点都市」に認定されました。
これにより、文部科学省、経済産業省といった各省庁と連携して、国の補助事業、海外展開支援、規制緩和等を積極的に実施できるようになりました。
今までスタートアップに必要な投資資金が首都圏に集まりすぎていることが課題でしたが、この認定により兵庫県にも11億円規模のファウンドが設立されました。
もちろん、費用面だけではなく、活動拠点となるラボの利用や、海外展開の支援、スタートアップに不可欠な人材支援や学習などもサポートしてくれます。
費用の補助(県市協調)
対象者 | ①高度なテクノロジーを活用した事業の経験・実績、または知識・能力があり、今後成長が見込まれる3年以上の事業計画を有する者 ②事業認定を受けてから6カ月以内に、神戸市内に当該事業所を商業・法人登録する意思のある者 |
対象経費 | 補助額 | 補助率 | 補助期間 |
賃借料 | 90万円/年 | 1/2以内 | 3年 |
通信回線使用料 | 60万円/年 | 1/2以内 | 3年 |
建物改修費(空き家改修) | 100万円/年 | 1/2以内 | 開設時 |
建物改修費(空き家改修) | 200万円/年 | 1/2以内 | 開設時 |
事務機器取得費 | 50万円/年 | 1/2以内 | 開設時 |
人件費(高度IT人材) | 100万円/年・人 | 定額 | 3年 |
補助総額(3年)(空き家改修) | 900万円/年 | ||
補助総額(3年)(空き家改修) | 1,000万円/年 |
投資ファンド
運用総額 | 11億円 |
1件あたりの出資額 | 1,000万円〜1億円 |
重点投資分野 | AI・IoT・ロボット、健康・医療、環境・エネルギー、航空・宇宙等の成長分野・ SDGsやポストコロナ社会への対応など、社会的課題や地域課題の解決に資する事業 |
詳しくはこちらのサイトをご覧だくさい。
スタートアップ成功に必要なのは自分の思いを伝える発信力
スタートアップに必要なものである、費用やアイデア、どのような人が向いているかなどご紹介してきました。
では、それらも含めて、まず最初はどのようなことに取り組んでいけば良いのでしょうか。
それは「発信」です。
自分が、どんな思いで行動を起こし、どのように世の中を変えるために、どんなアイデアや商品を持っているかを正確に伝えていくことです。
考えを発信せずして、支援や応援の力は借りられません。
ましてや、相手の正確な反応を知ることもできないため、そのアイデアが本当に届けたい人にささるのかもわからないままになってしまいます。
発信の内容や方法が間違っていると、どんなに素晴らしいものでも、相手に伝わらず、知ってもらうことさえ難しくなります。
ですので、まず発信していく場所と、表現する力が重要となってきます。
具体的には、SNSであったりホームページが手軽と言えるでしょう。
今、SNSとホームページを見直してみて、コンセプトや目指しているものが、相手に同じように伝わる書き方をしているかチェックしてみてください。
もしずれていたり、何が伝えたいかが読み取れない場合は、まずはその見せ方を変えてみる必要があります。
SNSではプロフィール欄を、ホームページでは会社概要もしくは代表あいさつといった、組織やサービスに関する場所を変更していくと良いでしょう。
ブランディングに勝る戦略はありませんので、そうした発信の統一性が、顧客や繋がりを生み出しやすくしてくれます。
発信力を磨くため、何をやってみたら良いかわからない方へ
まずは、ホームページを作ってみることをおすすめします。
ホームページには、商品説明ページや、会社概要ページなど、コンテンツをまとめる必要が出てきます。
まとめる際に、多くの事業主様が「何を書いて良いかわからない」とおっしゃいます。
そこが課題として浮き彫りになってくるわけです。
何を書いて良いかわからないということは、事業の目的は特にないということになってしまいます。
ですので、多くの場合は、商品やサービスのことを含めた自社のことを、どう形にして伝えて良いかわからないことが問題となっています。
ホームページ制作会社の大半は、そういった「表現力」をデザインと、文章の両方で補う力を持っています。
そのため、何もないところから、伝えたいことを引き出す力があります。
何を発信して良いかわからない方は、ぜひとも一度、ホームページ制作を依頼するところから始め、制作会社さんと話し合いながら、本当に知ってほしいことはなんであるかを、突き詰めていくことをお勧めします。
まとめ
今回はスタートアップと、兵庫県の補助いついてご紹介してみました。
スタートアップに重要な、発信する力は、スタートアップに限らずどの事業にも大切な要素です。
どんな人に、自社の何を知って欲しいかを明確に伝える方法は、ホームページやSNSが効果的でしょう。
ぜひとも、一度自社のホームページを見直してみて、コンセプトや伝えたいことにズレがないか見ていただけると大変嬉しいです。