あなたの企業ブランドイメージは、顧客に十分に伝わっていますか?
また、もしどんなイメージを持たれているかにしても、その調べ方がわからない場合も多いですよね。
商品やサービスに自信があっても、ブランドの認知度や価値が低ければ競争市場で埋もれてしまいます。
今回は、ブランディング戦略に悩む中小企業のマーケティングご担当の方に向けて、具体的かつ実践的な戦略をお伝えします。ブランディング戦略の重要性はわかっているけれど、具体的な作業内容がわからないという方、ぜひ最後まで読んでいただくと、何から初めて良いかヒントになりますよ。
ブランディング戦略とは?
ブランディング戦略とは、顧客に「このブランドを選びたい」と思わせるための技術です。ただのロゴやキャッチコピーではなく、企業の価値観や信念を軸にした総合的な考えをもとにした戦略です。
大袈裟に思われるかも知れませんが、ブランドという基盤がなければ、ロゴやホームページのデザインがバラついたり、企業として顧客に出したいイメージと、いつの間にか大きくずれてしまったりと、なかなか固定したイメージが定着しない場合があります。
そのため、ブランディングは大企業のものだけでなく、中小企業も、できれば店舗やECサイトであっても、もっておいてもらいたい戦略なのです。
ブランディング戦略の目的
- 顧客の信頼を獲得し、ブランドロイヤルティ(この企業で買いたい!)を高める。
- 他社との差別化を図り、価格競争に巻き込まれない市場での立ち位置を築く。
- 長期的な収益性を確保(ファンを増やし)、企業の持続的な成長を実現する。
成功するための土台作り
成功するブランディング戦略には、明確な方向性と具体的な行動計画が必要です。そのために、以下の3つのポイントをぜひ今から実施してみてください。
- 市場調査の実施 ターゲット市場のニーズを把握し、競合の強みと弱みを分析することで、ブランドの立ち位置を明確にします。
- ブランドメッセージの定義 ブランドの核となる価値観や理念を整理し、それを顧客にどう伝えるかを決めます。
- 一貫性のあるコミュニケーション ビジュアルデザイン、広告コピー、顧客対応まで、ブランドのトーンやスタイルを統一することで信頼感を高めます。
それぞれ、具体的にどのような作業が発生するかをお伝えしていきましょう。
1.市場調査の実施
(アンケート調査)
現在の顧客や潜在顧客に対して、ニーズ、期待、不満などを尋ねるアンケートを実施します。
生の声を聞くことで、自社の売りや欠点を知ることができます。
(インタビュー)
主要な顧客やパートナー企業に直接インタビューを行い、具体的な意見を収集。
パートーな企業などは一緒に仕事をしているため、意外な意見をもらう場合が多いです。
(ソーシャルリスニング)
SNSやレビューサイトで顧客が語っている内容を収集・分析します。まだ話題に上がっていない場合は、認知度があがってきたタイミングやイベントを実施したときなどにチェックしましょう。
(競合分析)
1.競合の公式サイトにアクセスする
トップページやサービス紹介ページをじっくり見て、どのような印象を受けるかをメモします。
例: 高級感がある、親しみやすい、技術力をアピールしている、など。
2.注目ポイントをチェック
実績や事例紹介ページがあれば、どういった顧客を対象としているかを確認し書き出します。
どんなメッセージを一番目立つ場所に置いているか、キャッチコピーも書き出します。また、どのような色を使って、どんな雰囲気を演出しているかも調査します。
3.製品やサービスの特徴を比較する
競合の製品カタログやサービス概要を公式サイトからダウンロードします。資料が手に入らない場合は、顧客事例やブログ記事から情報を抽出します。
⚫︎比較ポイントを明確化
- 価格: 競合の価格帯を調べ、自社と比較。
- 品質: 競合が特に強調している性能や特徴をメモ。
- アフターサービス: 保証やサポート内容がどうなっているかを調べます。
⚫︎レビューサイトを活用
- Amazonや口コミサイトで競合製品やサービスのレビューを確認し、顧客が感じている長所と短所をリスト化。
それらを表にして、自社の情報も同じように整理します。見比べることで、自社が強化すべきポイントや、競合との差別化戦略を立案していきます。
2.ブランドメッセージの定義
ブランドメッセージを定義する作業は、顧客に伝えたいブランドの核となる価値や理念を明確にするために必須です。
(中核となる価値観の明確化)
まずは経営陣や社員を交えて、ブランドのミッション、ビジョン、価値観を議論し、整理しましょう。ここがずれてしまうと、あとで大きな手直しになってしまいますので、しっかり詰めておきましょう。そしてここで大きくつまづくことが多いのも確かです。
社内では、様々な意見があるものなので、それを上手に取りまとめていきましょう。
(自社ならではの優位性を明確にして見える化)
「競合ではなく自社を選ぶ理由」となる理由を明確化。これは先にお伝えした市場調査から導き出した答えを書くことで正確になるでしょう。
(ブランドストーリーの作成)
自社の歴史、理念、ユニークな取り組みをストーリー化。顧客が共感しやすいエピソードを取り入れます。
思わず親近感をもつような内容であったり、驚くような展開であることもプラスに働きます。
(キーメッセージの作成)
ブランドの核を短いフレーズで伝えるメッセージを作成。ブランドストーリーにリンクしたものが良いでしょう。
3.一貫性のあるコミュニケーション
顧客との対話時に答える内容や、会社が発行する制作物に、それらが反映していることが理想です。
人によって理想が違う・・・、制作物によってイメージが違う・・・ということだけは避けたいものです。
(ビジュアルアイデンティティの設計)
ブランドの価値観を視覚的に表現するロゴ、ホームページ、フォントの種類を徹底して合わせます。
(ブランドガイドラインの作成)
上記で決めた内容を、ガイドラインとして社内で統一するためのものを作成しておきます。
(顧客体験の統一)
カスタマーサービスや営業チームが同じ理念や商品の良さを共通認識で持てるよう徹底しておきます。
オンライン(ウェブサイト、SNS)とオフライン(店舗、イベント)での顧客体験を統一します。
紹介したブランディング戦略を実際に運用する順序
1. ブランドの現状を把握する
まずは、自社のブランドの現状を正確に把握することが必要です。それには有名なSWOT分析を使ったり身近なところから情報を獲得してみましょう。また先にお伝えをした市場調査と競合分析の結果を使い、上手にまとめていきましょう。
- SWOT分析 自社の強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)を洗い出し、現在の状況を俯瞰します。
- ブランド監査 顧客調査や社員インタビューを通じて、自社ブランドの認知度やイメージを確認します。
2. ブランドメッセージを作る
ブランドメッセージは、顧客に「なぜこのブランドを選ぶべきか」を伝えるものです。
- メッセージの明確化 ブランドの核となる理念や価値を一文で表現します。
例: 「私たちは、環境と未来を考え、人に優しい製品を開発しています」
先にご紹介した、「2.ブランドメッセージの定義」で出たものをまとめましょう。
3. ビジュアルの構築
視覚的な印象は、ブランド認知を進める際に非常に重要です。
- ロゴとデザインの統一 ブランドロゴ、カラー、フォントを統一し、すべての顧客接点で一貫した印象を与えます。
- ツールの活用 CanvaやAdobe Illustratorなどのデザインツールを使って、手軽で安くデザインを作成します。
作成したブランドメッセージを軸に設計していきましょう。デザインはあくまで「好きだから」「流行りだから」といった観点で作成するのではなく、自社のブランドメッセージにピッタリのデザインを作成することが重要です。
4. 社内のブランド意識統一
社内でのブランド意識が統一されていなければ、外部に伝えるメッセージもずれていきます。
- ブランドを基準にする資料の作成 ブランドの理念、メッセージ、ガイドラインをまとめた資料を社内で共有します。
- 社員教育プログラムの導入 社員がブランド戦略の重要性を理解し、日々の業務に反映できるようにします。
まとめ
ブランディング戦略の全貌と、実際に作業する手順についてご紹介しました。
難しく感じるかも知れませんが、手順をひとつひとつおって、何を顧客に伝えたいか、どう伝わるようにするべきかを考え構築していくことが全てです。
ぜひ、少しずつでも実行して、実行した後とする前を比べ、顧客の意識がどう変わったかなども見ていくと、より戦略的に実行できますので、ぜひ試してみてくださいね。