実店舗への集客を増やしたいと考えたとき、今や欠かせないのがローカルSEOです。しかし、検索エンジンの世界は日々進化しており、近年ではAIにからんだ「AEO」や「LLMO」といった新しい考え方が重要性を増しています。
この記事では、ローカルSEOの基本から、AIがサイトを検索するという新しい時代にむけて、ローカルSEOにどのような影響を与えているのか、そして具体的に何をすべきなのかを、初心者の方にも分かりやすく解説します。
ローカルSEOとは。地域で「見つけてもらう」ための施策
ローカルSEOとは、特定の地域に関連する検索(例:「神戸 カフェ」「近くの ラーメン」)で、自社の店舗やサービス情報を検索結果の上位に表示させるための施策です。
MEO(Map Engine Optimization)とほぼ同義で、主にGoogleマップでの表示順位を上げることを指します。
ユーザーが「今いる場所」や「行きたい場所」に関連するキーワードで検索した時に、あなたのビジネスが地図や検索結果の上位に表示されれば、来店に繋がる可能性が飛躍的に高まりますよね。
ローカル検索の順位は、主に以下の3つの要素で決まると言われています。
- 関連性: ユーザーが検索したキーワードと、あなたのビジネス情報がどれだけ一致しているか。
- 距離: ユーザーの現在地から、あなたのビジネスの所在地までの物理的な距離。
- 知名度: あなたのビジネスがオンライン・オフラインでどれだけ知られているか(口コミの数や質、ウェブサイトでの言及など)。
これらの要素を最適化する上で最も重要なのが、「Googleビジネスプロフィール」の充実です。正確な店舗情報(住所、電話番号、営業時間など)を登録し、写真を追加し、ユーザーからの口コミに丁寧に返信することが、ローカルSEOの第一歩となります。
ローカルSEOの流入数は減少している?新しい時代に知っておくべきこと
「最近、エリアを含めたキーワードの順位が落ちた気がする」 「ローカルSEOからの流入が減ったように感じる」
もしかしたらローカルSEOに力を入れている方の中には、このような疑問や不安を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
結論から言うと、多くのビジネスでローカル検索経由のウェブサイト流入数が減少する傾向は見られます。 しかし、その理由は一つの理由ではなく、複合的な要因が絡み合っています。
1. 最も大きな要因:「ゼロクリック検索」の浸透
これが、ウェブサイトへの流入数が減少している最大の理由です。ゼロクリック検索とは、ユーザーが検索結果ページ上で必要な情報(電話番号、営業時間、住所、口コミなど)をすべて見つけ、ウェブサイトをクリックすることなく次の行動(来店、電話、予約など)に移る現象を指します。
具体例: ユーザーが「神戸 カフェ」と検索した際、Googleマップと共にお店のリスト(ローカルパック)が表示されます。ユーザーはそこに表示された評価や営業時間を見て、A店に電話をかけたり、B店のルートを検索したりします。この過程で、A店やB店のウェブサイトは一度もクリックされていないかもしれません。
Googleビジネスプロフィールの情報が充実すればするほど、ユーザーはそこで満足し、ウェブサイトを訪れる必要がなくなります。つまり、ウェブサイトへの流入数が減っていても、実店舗への来店や問い合わせは減っていない、あるいはむしろ増えている可能性も十分にあるのです。
これはローカルSEOが失敗しているのではなく、むしろ成功している証と捉えることもできます。
2. アルゴリズムの進化:「距離」と「関連性」の精度向上
Googleが公式に「表示エリアを狭くした」と発表したわけではありません。しかし、近年のアルゴリズムアップデートにより、ユーザーの現在地や検索意図との関連性をより厳密に評価するようになっています。
- よりパーソナライズされた検索結果: Googleは、ユーザー一人ひとりの位置情報に基づき、物理的に最も近く、かつ評価の高いビジネスを優先的に表示する傾向を強めています。
- 検索意図の深い理解: 例えば「〇〇駅 ラーメン」と検索したユーザーには、駅から徒歩圏内の店舗を、「〇〇市 ラーメン」と検索したユーザーには、市内の評価が高い店舗を、というように検索キーワードに含まれる意図を汲み取り、表示する範囲を動的に調整しています。
結果として、少し離れた場所にある店舗は、特定の検索キーワードで表示されにくくなることがあり、これが「表示範囲が縮小した」と感じる一因となっています。
【実践編】ローカルSEOで上位表示するための具体的ステップ
ローカルSEOで上位表示されれば顧客獲得の可能性は劇的に高まります。
例えば当社の場合「ホームページ制作 神戸」で検索すると「お店やサービス」のGoogleマップの欄では一位となっております。
一位がとれると、ホームページへ直接来なくても、その場で問い合わせしてくださるお客様が出てくるので、ホームページの流入数が減っても問い合わせは増えてくることになります。

ではどのように設定すれば一位を狙っていけるのでしょうか。
ステップ1:Googleビジネスプロフィールを完璧に作り込む
ローカルSEOの全ての土台であり、最も重要なのがGoogleビジネスプロフィール(旧:Googleマイビジネス)です。「とりあえず登録した」という状態から、「完璧に最適化された」状態を目指しましょう。
①基本情報の100%入力と統一
- ビジネス名: 正式名称を使いましょう。もしサービス名と運営会社が違う場合は、顧客が認識している名前「サービス名」を使用しましょう。
プロフィールの説明文のセクションで、「『サービス名○○は、株式会社○○が運営しています。」といった形で、運営会社について記載するとわかりやすいでしょう。 - カテゴリ: あなたのビジネスを最も的確に表すメインカテゴリを設定し、関連するサブカテゴリも可能な限り追加します。
- 住所・電話番号・ウェブサイト(NAP情報): ウェブサイトや他の情報サイトと一字一句違わずに統一します。特に住所は、Googleマップのピンの位置まで正確に設定しましょう。
- 営業時間: 通常の営業時間に加え、祝日や年末年始、臨時休業などの特別営業時間も必ず設定します。ユーザーへの配慮がGoogleからの評価に繋がります。
②「属性」情報を詳細に追加する
- 「テラス席あり」「Wi-Fi完備」「クレジットカード対応」「バリアフリー」など、あなたのビジネスの特徴を詳細に設定します。ユーザーが絞り込み検索を行った際に表示される可能性が高まります。
③「サービス」と「商品」を具体的に登録する
- 提供しているサービスや商品を、写真、価格、説明付きで具体的に登録します。これにより、ユーザーとGoogleの両方に、あなたのビジネスが何を提供しているかを明確に伝えられ、「関連性」が飛躍的に高まります。
ステップ2:ユーザーの目を引く「写真と動画」を充実させる
テキスト情報以上に、ビジネスの魅力を伝えるのがビジュアルコンテンツです。
- プロ品質の写真を追加: 高品質な外観、内観、商品・サービス、スタッフの写真を多数登録します。特に第一印象を決めるカバー写真は重要です。
- 360°ビュー(ストリートビュー)の導入: 店内の様子がわかる360°ビューは、ユーザーに来店前の安心感を与え、滞在時間を延ばす効果があります。
- 定期的な写真の追加: 新メニューや季節の装飾など、新しい写真を定期的に追加することで、プロフィールがアクティブであると認識されます。
問題が起こった場合【写真が全く投稿されない】
当社でも起こった「写真が不承認になる」問題ですが、Googleで出されている「ポリシー」の問題をクリアしているのに、まったく承認されない場合は、システム側の問題である可能性もあります。アカウントが問題になっているか、画像が全て拒否されるようになっているかの2パターンあります。
一度、何が問題かテストしてみましょう。
(テストのやりかた)
ステップ1:原因の切り分けテスト
まず、画像を使わず、文章のみのシンプルな投稿を一度だけ行ってみてください。 内容は、当たり障りのない、ビジネスに関するシンプルなもので大丈夫です。「最新情報」に投稿してみてください。
ステップ2:テストの結果に応じた次のアクション
- A)テスト投稿が【承認された】場合
- 原因: アカウント自体ではなく、コンテンツ(特に画像)に原因があると確定できます。
- 対策: 今回拒否された投稿の画像を、別の画像を使って再度投稿してみてください。例えば、人物が写っていない写真、貴社のロゴ画像などに差し替えることで、承認される可能性が高まります。
- B)テスト投稿も【拒否された】場合
- 原因: アカウント自体が、何らかの理由でGoogleから厳しい監視下に置かれている(ソフトサスペンション)可能性が高いです。
- 対策: この段階に至ると、ご自身での解決は困難になります。Googleビジネスプロフィールの公式サポートに連絡し、「ポリシーに違反していないはずの投稿(写真や最新情報)がすべて拒否されてしまう」という状況を具体的に説明し、アカウントの審査をリクエストする必要があります。
ステップ3:「口コミ」を戦略的に増やし、丁寧に対応する
口コミは、「知名度」を測るための最も重要な指標の一つです。
- 質の高い口コミを依頼する: 満足してくれた顧客に対し、会計時やサンクスメールで「よろしければ感想をお聞かせください」と丁寧にレビュー投稿をお願いしましょう。Googleが提供する口コミ依頼用の短いURLを活用するのが効果的です。
- 全ての口コミに24時間以内に返信する: 良い口コミには感謝を、ネガティブな口コミには真摯な謝罪と改善策を提示する姿勢が重要です。オーナーからの誠実な返信は、他のユーザーへの強力なアピールとなり、信頼性を高めます。
ステップ4:「投稿」と「Q&A」機能で鮮度の高い情報を発信する
SNSのように活用し、情報の鮮度を保ちましょう。
- 「最新情報(投稿)」を週1回以上更新: キャンペーン、イベント、新商品、臨時休業のお知らせなどを定期的に投稿します。アクティブに運用されているプロフィールは評価が高まります。
- 「Q&A」機能を積極的に活用: ユーザーからの質問に素早く回答するのはもちろん、「駐車場はありますか?」「予約は必要ですか?」といったよくある質問を自ら投稿し、回答しておく「自作自演Q&A」が非常に有効です。
ステップ5:ウェブサイトの内部対策(オンページSEO)を徹底する
ウェブサイトもローカルSEOの重要な評価対象です。ビジネスプロフィールと連携させて評価を高めましょう。
- NAP情報を全ページに掲載: ビジネス名、住所、電話番号を、ウェブサイトのフッターなどにテキスト形式で正確に記載し、完全に一致させます。
- タイトルタグと見出しの最適化: 各ページのタイトルタグ(
<title>
)や見出し(<h1>
)に「地域名(例:神戸市中央区)」や「最寄り駅名(例:三宮駅)」を含めます。(例:「神戸市三宮の整体院なら〇〇カイロプラクティック」) - 地域に特化したコンテンツの作成: 店舗へのアクセス方法、周辺エリア情報、地域のイベントへの参加レポートなど、地域との関連性を示す独自のコンテンツを作成します。これが競合との差別化に繋がります。
ステップ6:「サイテーション」でオンライン上のプレゼンスを構築する
サイテーションとは、他のウェブサイト上であなたのビジネスのNAP情報が言及されることです。これはオンライン上の「知名度」を高めます。
- 地域のポータルサイトや業界団体への登録: 神戸市の商工会議所、地域の情報サイト(例:「Kiss PRESS」)、業界専門のディレクトリなどに登録し、NAP情報を統一します。
- 登録情報の定期的な棚卸し: 古い情報が残っていないか、店名変更や移転の際に情報が不統一になっていないかを定期的にチェックし、修正します。
ステップ7:被リンク、特に「地域からのリンク」を獲得する
質の高い被リンクは、ウェブサイトの権威性を高め、ローカルSEOにも好影響を与えます。
- 地域のメディアやブロガーにアプローチ: 地元のニュースサイトやブログで店舗を紹介してもらうよう働きかけます。
- 地域のイベントへの協賛: 地域のお祭りやイベントにスポンサーとして参加し、公式サイトからリンクを設置してもらうのも有効な手段です。
まとめ ローカルSEO対策で行っておくこと
いかがでしたでしょうか?やれることは、たくさんありますよね。
AI時代であったとしても、ローカルSEOの重要性とやるべきことはあまり変わりません。
しかし、AI時代に突入したということは、従来の検索キーワードでは、あまり表示されなくなったことを意味します。
ユーザーが検索するキーワードが「神戸市 中央区 カフェ」であれば、Googleマップの中央区だけのカフェが表示され、以前のように広範囲で表示されることはなくなってくるのです。
また、「神戸市 人気 カフェ」であれば、AIによる概要という形で、検索結果の最上部にAIが要約した回答がずらりと表示されるようになるのです。複数のサイトから情報を統合して生成するため、上位表示されているサイトに掲載したり、自身のサイトを上位にもってきたとしても要約とした形で載ることになります。
その中で、選ばれ、クリックされるためにはどのような対策が必要なのでしょうか。
今回は、ローカルSEOという形でご紹介しましたが、他にもさまざまな手法がございます。順番にお伝えをしていきますので、ぜひ他の記事もご確認くださいね。

Webデザイナー歴5年、DTPデザイナーとして2年、さらにSNS運用の実務経験を1年持つデザイナー。
ホームページ制作では、情報設計からライティング、ワイヤーフレーム作成、ビジュアルデザイン、コーディングまで一貫対応。
「お客様の強みを引き出す見せ方」と「競合に差をつけるデザイン」を意識したサイトづくりを得意とし、業種を問わず中小企業のブランディング・集客支援を行っています。
デザイン性と成果を両立させる制作スタイルで、これまでに多数の反響型サイトを手がけています。