IT人材不足が叫ばれる中、IT人材を採用・育成したいと考える会社も多いのではないでしょうか。
しかし、どのような求人情報や育成ロードマップを作ればIT人材を確保できるのか、まったくイメージがつかない担当者も多いと思います。
今回は、IT人材である筆者が、IT人材と呼ばれる人々が、どのような育成環境や職場環境を求めているかを、本音でズバッとご紹介していきます。
この記事をとおして、求めている人材の本音部分を知っていただき、他社の求人にはない情報を掲載することで、IT人材の確保につなげていただければ大変嬉しいです。
では早速いってみましょう。
この記事でわかること
- IT人材を育成・採用できる会社とそうでない会社の違い
- IT人材を損せず育成できる方法
- 採用者が知っておきたいIT人材の本音とは
IT人材を育成できる会社とそうでない会社。自社がどちらであるかを知る
まず、IT人材を育成するために必要な環境は大きく2つです。
- 自社がIT人材に求めるスキルが明確になっている
- ITの知識を持った人材が社内にいる、もしくは学習コンテンツが用意されている
IT人材に求めるスキルが明確になっている
自社に必要なITスキルが何であるかを明確に示さないまま、採用や育成に力を入れている会社が非常に多いのは事実です。
しかしこれでは、時間もお金ももったいない!
IT人材といえば、エンジニアやプログラマーとひとくくりにしてしまいがちですが、持っている技術は人それぞれです。仕事の内容によっては知識がおよばなかったり、分野がまったく違うということも大いにあります。
そこで、具体的に求める知識を事前に伝えることで、応募者は自分にマッチしているかどうかが即座にわかったり、育成の際にはどのような知識を学ぶべきかが明確になり、応募や学習がしやすくなります。
もし、自社が何かを開発する予定があったり、システム案件の受注を増やす予定であるなら、それらはどのような知識を持った人材がくればスムーズにすすむのかを、洗い出してみましょう。
下記に、具体的なプログラミング言語例を表にしてご紹介しますね。
Python | データ分析、機械学習、ウェブ開発、スクリプティング |
Java | ウェブ開発、アプリケーション開発、Androidアプリ開発 |
JavaScript | ウェブ開発、フロントエンド開発 |
C# | Windowsアプリケーション開発、ゲーム開発 |
C++ | システムプログラミング、ゲーム開発、リアルタイムアプリケーション |
Ruby | ウェブ開発 |
Swift | iOSアプリ開発 |
Kotlin | Androidアプリ開発 |
PHP | ウェブ開発 |
Go | システムプログラム、ウェブ開発 |
R | データ分析、統計計算 |
SQL | データベース管理 |
この中でも例えばJavaの知識がある人を募集したい場合は「・Javaを使用した開発経験、要件定義以降の実務経験、AWSを用いた開発経験」というように、どの程度Javaでの経験があるかを記載することで、エンジニア自身が自分に合うか合わないかを事前に知ることができ、応募のハードルを下げることができます。
募集要項が大雑把だと、自分の技術で務まるのか?求めている知識が高すぎるのに雇用条件があっていないのではないか?などの不安から応募にいたらないケースが出てしまいます。
これでは、とてももったいないですよね。
では、もうひとつの環境についてもご紹介していきましょう。
ITの知識を持った人材が社内にいる、もしくは学習コンテンツが用意されている
育成において最も重要なのは「育てる人がいるかどうか」です。実際に実務にあたっている人材が社内にいるかどうかは、育成スピードを大きく左右しますよね。
雇ったものの、教えてくれる人がいない状態の場合、調べたり検証することに時間がかかり、なかなか業務がすすまないという状況になってしまいます。
もし、それを回避するために、実務経験のある人を雇おうと思うと、それなりの雇用条件と魅力的な実務内容が必要です。
育てる人がいない場合でも大丈夫。
ある程度のスキルをマスターできる学習プログラムを社内に用意しておけば、それをひととおりクリアすることで、求めるスキルまでレベルアップできるので、実務へスムーズに移行できるでしょう。
どちらにしてもIT人材を雇えばすぐに、求めるスキルや仕事をしてもらえると考えると失敗する可能性があるため、自社が求めるスキルが高すぎないか、またそうであればそれ相応の雇用条件を用意できるかなどを冷静な目で見る必要があります。
つまり最初に、どのような人材にきて欲しいかを明確に絞り込むんでおくことが大切です。
IT人材を育成しても辞めてしまうのでは・・・損しない育成方法について
育成したとしても、育つと辞めてしまって困る。そんな課題はどの職種でもありうることです。
とくに技術職では、技術が身につけばより良い環境へと移り変わりたいと思う人材が多いため、定着率が低くなってしまいますよね。
では、どうすればIT人材の育成に投資した費用を無駄にせずに済むのでしょうか。
一番大切なことは、採用の段階で「人選を間違えない」ことです。
どういうこと??と感じた人のために、以下にIT人材採用の際、長く継続してもらうために大切なことを4つあげてみました。
- 応募者が自分の技術でどんなキャリアを形成したいかを知り、それが社内で叶うかどうかを考える
- 応募者が、IT人材としての才能があるかどうかを見極める
- 応募者が何を一番求めているのか、お金、余暇、やりがいのどれであるかを知っておく
- 応募者のような技術者であるか、スキルを上げた分だけ見返りがあるような雇用形態もしくは、仕事のやりがいが提供できるかを考える
上記は、どんな職種でも大切な要素だと思いますが、IT人材のようにさまざまな企業が欲しいと感じる売り手市場であると、より企業側がきちんと準備をしておく必要があります。
ひと昔前のように、一度勤めたら退職するまで働くといった社会的な風潮もないため、良い人材に長く働いてもらうにはスキルに合った待遇が必要となってくるでしょう。
育成にかけた期間を、仕事として会社に返してもらうためにも、人材への投資は企業にとっても重要だと思われます。
それは必ずしも、余暇やお給料ではなく、自分の技術をどんどん加速することができる環境が欲しいと思っている人や、自分のやりたいと感じる仕事ができる会社で働きたいと考えている人など様々です。
採用の段階で、応募者が仕事をとおしてどんな未来を考えているのか、をおさえておくことで、採用者と応募者の求めるものがずれていないかを調整できるでしょう。
では、次に重要な、育成についてもご紹介していきます。
育成で大切なのは、育成プログラムを正確に作成したり、ITの知識をもった人材に教育を依頼する仕組みを作ることです。
この「育てる」ためのツールや人が欠けていると、せっかく採用にいたっても育つ前に辞めてしまう可能性が出てきます。
では今、どれくらいの企業が、自社の育成プログラム作り変えて、内容をITによせたものに変更しようとしているのでしょうか。表でわかるように、売り上げが高い企業であればあるほど、カリキュラムを変更していることがわかります。
IT人材育成における、社内育成教育プログラムの見直し割合
IT人材育成にはお金がかかる。助成金を使って賢く育てよう。
育成の重要性についてふれてきました。しかし同時に、お金と時間がかかると感じられたのではないでしょうか・・・。
そこで、その育成費を助成金でどのていど賄えるかについてご紹介したいと思います。
IT技術者の育成については国も推し進めています。
特に、IT技術の習得を推奨しているのが厚生労働省ですので、その厚労省が定める助成金制度があります。
今回は「人材開発支援助成金」についてご紹介しますね。
厚生労働省動画より
⚫︎対象となる事業主団体等
ア.事業主団体
事業協同組合または商工会などの、団体に所属しており、かつ雇用保険適用事業所であること。
イ.共同事業主
共同するすべての事業主の合意に基づく協定書等を締結していることほか、複数の規定があるため、詳細はこちらの20ページを参照。
⚫︎対象となる訓練
・自社で企画運営する訓練もありますが、必要事項はいくつかあります。
・社外の教育機関も対象です。
複数の規定があるため、詳細はこちらの22ページを参照してください。
⚫︎助成率
最大70%です。事業所または1事業主団体等が1年度に受給できる助成額は、1,000万円となっています。
厚生労働省HPより
申し込みはこちらから電子申請が可能です。
失敗しないIT人材の採用のために、採用者が知っておきたいIT人材の本音
ここからは、IT人材と言われる人たちが転職することについての本音をご紹介していきたいと思います。
人材には筆者は3種類いると感じています。
3つの考え方
(1)知識や経験はゼロだけれどやる気は十分あり、環境や雇用条件を重視せず、経験値を増やしたいと思っている人。
(2)経験と知識にはある程度自信があるが、もっと面白いものを作りたいという、ものづくりの精神が強い人。
(3)経験と知識にはある程度自信があるが、給料や雇用条件をさらに良くしたいと考える環境重視の人。
つまり、どういう人に来てもらいたいかによって、求人の見せ方や出し方が随分変わってきてしまいます。
また、それぞれが求める環境が違うため、応募者目線からも知りたい情報が全く違うので、自社がどういう人材を求めているかを落とし込めば、求人情報だけでなく、自社の魅力として載せる内容も変わることになります。
IT人材採用のための、魅力的な求人内容の打ち出し方
では次に、上記の3つの考え方ごとに、それぞれ何を打ち出すと魅力と感じるかと、注意点についてまとめてみました。
(1)経験が少なくやる気はある人の場合
未経験OKや経験がなくても仕事ができる安心感が重要でしょう。しかし、未経験採用となると育成にお金と時間がかかりますよね。
そこで大切なのが、応募者がIT人材として才能があるか否かを見極める目です。これには、「作ることが好き」だったり、「マニュアルどおりでないと動けない」など、育成した際の伸び率を感じることが重要です。
とくにものを作る仕事というのは、マニュアルにそったものばかりではなく、イレギュラーが多々起こるものです。その際に、柔軟な思考力がなければ「習っていない」や「問題の解決策が浮かばない」といった問題にぶつかって辞めてしまうこともあります。
面接時にそのあたりをチェックしておくことをおすすめします。
(2)雇用条件にとらわれず仕事を楽しみたいという人の場合
この人たちの場合は、どんなものを作り、どういうスキルが必要かを具体的に明確に伝えることが大切です。入社したとき、自分がどんな案件にかかわれるのかを注視する人は意外と多く、そこにワクワクしたものづくりができるなどが加わると、魅力を感じる人も多いようです。
気をつけたいのは、経験のある人ほど高額なお給料に対して自分のスキルが合っているのか、業務内容が過酷なのではないかと、冷静に判断しますので、雇用条件の良さだけのアピールは裏目にでる可能性があります。
(3)今よりももっと良い環境を求めている人の場合
雇用条件を重視する傾向が多いでしょう。しかしその裏には、今の環境で満足できない何かがあり、それを払拭する方法としてお給料の高さを希望する人もいます。
そのため、基本はどのような物が作れて、どんな経験を得られるかの提示は重要で、それに見合った雇用条件を提示するのがベストになります。
IT人材の育成と採用が難しいと感じたら、パートナーを作ろう
ご紹介してきたとおり、IT人材の育成と採用にはお金と時間のほか、自社の求める人材が何かを明確にすることが大切です。
しかしそのためには、自社がどのような物を作るために人材が必要なのか、またそれはどれくらいのスキルが必要で、それに見合う雇用条件はどの程度を提示すれば良いのかなど、採用者にもある程度の知識が求められます。
もちろん、これらをクリアしてピッタリと思われる人材を確保しても、うまくいかず早い期間で退職になってしまうこともあるでしょう。
なかなかハードルが高いですよね。
ですので、もう一つの選択肢として、IT関連のパートナー会社を作っておくことをおすすめします。
ここでパートナー企業としておすすめするのは「間違いを正す提案をしてくれる企業」です。
IT関連の案件は、長期的に付き合うことが多く、発注費も高くなる場合があります。そのため、案件が間違った方向に進みやすかったり、修正が多く発生し費用がかさむケースもあります。
それらは、依頼したIT企業と発注者側とのコミュニケーション不足が要因である場合がほとんどです。
そのため、きちんと話し合い、方向性が間違っていればそれを指摘してくるようなIT企業の方が、最終的に良い仕事ができることが多いですよね。
つまり、パートナーとして認識し合えるかどうかが重要な要素で、「言われたとおり作った」というスタンスの企業とはパートナーを組まない方が良いということになります。
この仕事のスタンスとも言える部分ですが、パートナー契約を結ぶ前に、絶対知っておきたいところですよね。
IT関連の仕事は最新情報が変わりやすく、世の中の流れに大きく左右されます。
社内で人材を育て続けるのが難しいと感じたら、IT関連の企業とパートナー契約を結び、困ったときや案件が発生したときにだけ依頼するようにすることで、無駄な経費と教育費を抑えることができます。
しかも、技術に長けた担当者に依頼することができれば、非常に安心ですよね。
当社でも、ITパートナートして案件を受注中です。お困りのことがありましたらご相談くださいね。
まとめ
今回はIT人材の育成と採用について、IT人材である筆者が採用側に求めることも交えてお伝えしてきました。
ITとひとくくりにされがちな職種ですが、紐解いていくと様々なスキルと業務に別れています。その中で、自分の得意不得意や、仕事をとおして叶えたいことなどが人それぞれ違ってきますので、ぜひともそこを明確にキャッチしていただき、人材確保や育成に繋げていただければと思います。