ストーリーテリングは競合と差別化する際に用いられる手法です。同じ製品でも、開発秘話や創業者の思いが、ユーザーとリンクすると、購入意欲やファンになるという、プラスの感情が芽生えやすいです。
とくに、自社商品に情熱や思いがある場合は、ストーリーテリングを上手に活用することで、いままで顧客になりえなかった層を獲得することが可能になります。
今回は、そんなストーリーテリングをWebサイトに取り入れる方法と、筆者が選んだ他社と差別化になると感じるストーリーをいくつかご紹介してきましょう。
これを読んで、ぜひ今すぐにでもWebサイトの内容を見直してみてくださいね!
あなたの商品や企業のストーリーを発掘する
まず、あなたの商品や企業でユーザーに伝えられるようなストーリーはありますか?
多分、どんなサービスであっても「ある」と思います。それを広報担当者が知らなかったり、創業者にはそういう思いがあっても、社内に浸透していなかったりと、日の目をみていない可能性があります。
もちろん、創業者自体が、それをストーリーだと考えていないだけで、明確な「思い」をもっている可能性も十分にあるのです。
パーツでも良いので、それらを収集してストーリーを作り上げていくところから始めましょう。
当社「神戸ホームページ制作センター」の場合、代表の「さまざまなサービスを掛け合わせれば、どこにもないサービスができあがる」という考えに、創立メンバーの「どんな課題も、技術を磨き解決する方法を模索する」という、仕事への信念がかけあわさり、ホームページでなんとかビジネスを軌道にのせたいというお客様からの問い合わせが多くありました。
それはとくに、ホームページへ載せていなかったのですが、仕事をしながら信念が伝わり、口コミで仕事を頂戴する形となったのです。
つまり、ホームページにあえて載せなくても伝わる部分ではあるものの、それを載せることで、より多くの人に共感してもらえるというメリットが出てきます。
ぜひ、今、埋もれている「ストーリー」を発掘してみてください。
ストーリーとニーズが一致すると問合せが爆増する。ニーズは何かを知る方法
では、ストーリーがみつかったとして、それをどのように組み上げていけば良いのでしょうか・・・。
その鍵は「ニーズ」にあります。
この場合のニーズは、ターゲットが抱えている課題を解決するということになります。
あなたがターゲットとしている層が、あなたのサービスを必要としている理由を掘り出し、そこにニーズを探し出します。
例えば「神戸ホームページ制作センター」の場合、100万円以下でホームページを作りたい方が多く問合せくださり、その大半の方が、「ホームページの知識がない」「作るだけでなく、作った後それを使って成果を出したい」という考えをお持ちでした。
ホームページで成果を出したいとなると、たいていの制作会社は「Webコンサルティング」や「SEO対策」を、別ですすめたりされるのですが、ご予算にかぎりがあるため、別途費用は出しにくいものです。
そこで、当社の場合ですが、コンサルタントではないものの、ホームページをSEOであげながら、成果を出すことを模索してきた制作者や営業がホームページ制作にたずさわることで、コンサル費もSEO費用もいただかず、ホームページ制作に組み込むことができるのです。
これはニーズと信念が一致したことで起こるメリットです。
このように、具体的にターゲットのニーズを把握できれば、そこにストーリーを掛け合わせ、ターゲットからすると魅力的な物語が描かれたことになるのです。
ターゲットが漠然としている場合、ペルソナなどを用意することも、ひとつの手だと思われます。
競合を調べ、課題の解決がかぶっていないかをチェックする
もう一点大切なことがあります。
それは競合調査をおこたらないことです。
ペルソナを作り、ターゲットをある程度定め、そのターゲットが抱える課題と解決する方法をまとめて、あなたのストーリーで解決できると確信しました。
しかし、もし複数の会社が同じ解決方法を出していては差別化にはなりません。
ここで重要なのは、ストーリーです。
競合調査をした結果、他社と似た内容になっている部分は、ストーリーを多少変更していくと良いでしょう。
より共感できるストーリーに変えていくことで、あなたのサービスがターゲットの心を一番獲得しやすいサービスとなるはずです。
競合調査の効率的な方法
一般的には、同業他社を調べていくのが良いと思いますが、もうひとつやり方として、自社のホームページを自社名以外で検索して上位にくるキーワードを把握しておくことです。
自社名以外でホームページにたくさん人がきてくれるキーワードは宝です。そのキーワードで検索した時に表示される他社のサイトで、同業になる企業のサービスやストーリーをチェックしてみてください。
そのキーワードを検索した時に、他社から抜きん出て自社のサービスやストーリーがターゲットにピッタリくるものであれば、選んでもらう確率は大幅にアップします。
まれに、上位にくるキーワード自体が、ターゲットの検索するキーワードや自社のサービスとズレている場合があります。
それの場合はホームページに載せるコンテンツを変える必要がありますので、それについては別の機会にふれていきますね。
見落としがちなターゲットがかかえる課題を洗い出せば、成功率が高まる
では、話を「ニーズ」に戻してみましょう。
この「ニーズ」=「課題解決方法」ですが、実は「課題」部分を大きく履き違えるケースが多々あります。
その理由の多くは、「課題」を勝手に想像して作ってしまうことです。
私たちで言うと、ユーザーの課題はきっと、制作費の高さにあるだろうと思ってしまいがちです。しかし実は制作費は成果が出るのであれば支出以上の収入が上がるため、さほど問題視されていない場合があります。
むしろ、高いお金を払って結果が出なかった場合、マイナスが大きくなるために、なるべく制作費を押さえて痛手を減らしたいという考えの方が多かったりします。
つまり、結局安い費用で作っても、成果がまったくでなければマイナスとなってしまうので、価格を安くすれば良いというわけではありません。
このように複雑に絡み合ったユーザー心理をひもとき、本当に課題と感じている部分が何かを洗い出すことこそが、ターゲットの心にささり、問合せにつながりやすくなるのです。
おすすめは、アンケートをとることです。アンケートをとれば。思い込みに左右されず、本音が聞けるのでおすすめですが、ある一定量のアンケート数が必要なことと、なかなかアンケートをとりにくいこともあり、どうしても想像力を働かせて作ってしまいがちです。
そこに大きな落とし穴があるのです。誰しも自分のサービスを第三者的に把握することは非常に困難です。
この解決法としては、課題と解決案を何パターンか作り出し(あくまでストーリーからブレないように)、それをまったく業種の違う第三者にみてもらうなどして、冷静な意見を集めることです。
そうこうしているうちに、意外で想像もつかないようなターゲットの課題にたどり着く可能性もありますよ。
では早速ストーリーテリングをWebサイトに載せていきましょう
ターゲットが明確になり、そのターゲットの課題(ニーズ)が浮き彫りとなり、その課題を解決する自社のストーリーが組み上がったところで、それを上手にWebサイトにのせていきましょう。
基本は文章でOKです。
しかも、小説家のような文章力はいりません。
どちらかというと、最初に持ってきたいのは「つかみ」です。読み手が思わず続きを読んでしまうような事実に基づいた「つかみ」を持ってくると効果的でしょう。
「最初は1億の赤字からスタートしました」「なにせ人が辞める」「お客様から返品が相次ぎました」など、苦労話から始まるのもありですし、「今は毎月100件を超えるお問い合わせが続いています」など、「なぜ?どうして?どうなるの?」というような文章から始まるのも良いでしょう。
そして、次に「共感」を感じさせる文章を入れていくのが良いでしょう。共感は全ての文章に重要です。「わかるわかる」「私のことだ」と読み手が感じた時点で、ほぼ最後まで読んでくれるでしょう。
その共感の部分は、ターゲットが明確になっており、ターゲットの課題がなんであるかがわかっていなければ書くことは難しいですよね。
ですので、ここで重要なのが、ターゲットが誰で、どんな課題を解決したいと思っているか、に焦点をあてて書いていくことです。
読み手が「私のことだ」「で、どうすればこの問題を解決できるの?」と感じることが、次へ読み進んでくれるポイントとなるのです。
ここまで来ればいよいよ最後です。
最後は、社会的もしくはターゲットに対して持っている、あなたのビジョンを書いていきましょう。
ここでの意義は、社会の課題に貢献していく企業であることをきちんと伝えていくことにあります。
ターゲットの課題だけでなく、ターゲットをとりまく環境やビジネス社会に対し、自社がどのように考え、取り組んでいるかを明確にし、それによりターゲットの課題も解決することができると締めくくれば、文章全体が一連の流れになって心に残りやすいですよ。
これが、ストーリーテリングをWebサイトに取り入れる全容です。
他社と差別化になるストーリーをピックアップ
では、他社はどのようなストーリーテリングをWebサイトに載せているのでしょうか?
いくつか心に響いた内容を選んでみました。
■ユーハイム
96%の達成率で、食品添加物に頼らないお菓子作りをしているユーハイムさんです。
1990年代半ば、ユーハイムはバタークリームケーキの「フランクフルタークランツ」から乳化剤と膨張剤を抜いたんですね。しりませんでした。
「無添加」という言葉が先行して使われる中、歴史の中で自然派にこだわり続けたユーハイムさんの企業姿勢に、少なからずもお菓子の選択肢として選びたくなりますよね。
■ロック・フィールド
とても早くから、環境と食品の安全について伝えてきた会社です。
安全だけでなく、さまざまな食文化を、家庭で取り入れやすい惣菜という形に変えて届けることや、環境、健康を考えた商品開発など、幅広いコンセプトを掲げています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は、ストーリーてリングをWebサイトに載せる方法についてご紹介していきました。
理念が伝わると親近感がわき、応援したくなる気持ちもでてきますよね。とくに、長く続いている会社ほど創業の思いや歴史は濃いもので、良い時悪い時もあるはずです。
それらの見せ方次第で、ホームページはずっと魅力的なツールになること間違いなですよね。